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保険を活かした節税法

保険を活かした節税法

先日法人向けの節税保険が金融庁の指導によって事実上販売停止になるというニュースが流れました。 「保険で節税?お金を持ってる中小企業の社長が考えることでしょう」 「サラリーマンの自分には関係ないし」 とこのニュースをスルーした方も多いかと思います。 しかし、超低金利政策が続いて老後の生活資金の準備をしようと貯金をしても利息は雀の涙。そんな現在、個人の方こそ「保険を活かした節税」をするべきなのです。

そこで今回は、

  • 保険の節税は一粒で二度おいしい
  • 生命保険料控除を最大限利用しよう
  • 「保険で増えたお金」は「預貯金の利子」より税金がかかりにくい

といった内容を詳しくお伝えしていきます。どうぞ最後までお付き合いください。

保険は「入口と出口」ダブルで節税できる

保険で節税することをオススメしたいのは、お金を「預ける時」と「受取る時」の両方で節税することができるからです。

入口の節税

生命保険料控除

年末調整や確定申告の時に「生命保険料控除証明書を提出してください」と言われたりするので、聞き覚えのある方も多いかと思います。

これは国が「自分で(公的保険ではない)保険に入るのは素晴らしい!ご褒美に税金を少し安くしてあげます」と言ってくれる仕組みです。

具体的には、「一般的な生命保険」「介護・医療保険」「個人年金保険」に加入すると、「所得税と住民税が安く」なります。

年収600万円の方でシミュレーションしてみます。

まず所得税の生命保険料控除額です(一般・介護医療・年金それぞれに適用)

年間の払込保険料など 控除額
20,000円以下 払込保険料などの金額
20,000円超40,000円以下 払込保険料など×1/2+10,000
40,000円超80,000以下 払込保険料など×1/4+20,000
80,000円超 一律40,000

※ただし一般・介護医療・年金合わせて120,000円が限度

次に住民税の生命保険料控除額です(一般・介護医療・年金それぞれに適用)

年間の払込保険料など 控除額
12,000円以下 払込保険料などの金額
12,000円超32,000円以下 払込保険料など×1/2+6,000
32,000円超56,000以下 払込保険料など×1/4+14,000
56,000円超 一律28,000

※ただし一般・介護医療・年金合わせて70,000円が限度

一般・介護医療・年金、全て年間80,000円以上(月額 6,667円以上)の保険料を払っていれば、所得税、住民税合わせて最大190,000円を所得額から控除してもらえます。

年収600万円の人の税率は20%ですから、190,000×0.2=「38,000円税金が安く」なります。そしてこの控除が「保険料を支払っている間ずっと」続くのです。

預貯金ではなく貯蓄性のある保険を利用する

この仕組みを利用して、「貯蓄性のある保険」に加入します。
生命保険は、

  • 定期保険
  • 養老保険
  • 終身保険
    のどれかに分類することができます(例えば医療保険も定期タイプと終身タイプに分けることができます)。
    定期保険はいわゆる「掛け捨て保険」と言われるもので、保険料は安いですが貯蓄性はありません。
    一方養老保険や終身保険は保険料が高い代わりに「お金が貯まる」機能がついています。

この養老保険(ex.学資保険など)や終身保険に加入すれば、貯金をしながら、払ったお金で節税もできるのです。

銀行や郵便局にいくら預貯金をしても控除額はありません。

これが「入口の節税」です。

出口の節税

保険は「受け取ったお金」から「払込んだ保険料」を引いた額に税金がかかる

次はお金の出口、つまり受け取るときの節税についてです。

保険の満期金にかかるのは一時所得か雑所得

保険料を支払った人と受取人が同じ場合、養老保険の満期金や終身保険の解約返戻金(途中で解約したときに返してもらえるお金)は、一括で受け取ると「一時所得」、年金形式で毎年受け取ると「雑所得」がかかります(個人年金保険も雑所得となります。保険料負担者≠受取人の場合は贈与税)。

計算式は違いますが、一時所得も雑所得も「受け取ったお金」からかかった経費、つまり「払込んだ保険料」を差し引くことができます

要するに「増えたお金」に対し税金がかかるわけです。

保険にかかる税金の計算例

ここまでは利息に対し税金がかかる預貯金と同じですが、保険の場合はここから一定額を控除することができるのです。

一時所得の場合を見てみます。

一時所得の計算式は、

(総収入金額-収入を得るための支出金額-特別控除額50万円)×1/2
で産出されます。

例えば学資保険で保険料を毎年10万円、10年間にわたって支払い、満期金として110万円を受け取ったとします。

この場合、
(110万円-100万円-50万円)×1/2=-20万円
マイナスになってしまうので税金はかかりません。

つまり、「50万円以上お金が増えなければ税金はかからない」ということになります。

預金の利子に掛かる利子所得は税金天引き

それに対し預貯金の利子には利子所得がかかります。

預金の利子にかかる税金の計算

銀行などに預貯金をして受け取る利息からは、
所得税および復興特別所得税15.315%+地方税5%=20.315%の税金が予め引かれています。

有無を言わせず20%以上を持っていかれてしまうのです。

ただでさえ超低金利で微々たる利息なのに、さらにそこから20%以上も引かれてしまう預貯金に魅力はありません。

生命保険料控除と特別控除の「ダブル控除」で節税できる、保険を使ってお金を貯めるのが賢いやり方です。

保険を使って相続税を減らす

保険は相続税対策にも有効です。

旦那様が亡くなって奥様と二人のお子さんが相続した場合を考えてみます。

分かりやすいように遺産が現金で6,300万円あったとします。

相続税の基礎控除額は、
3,000万円+600万円×法定相続人の数
ですから、この場合は3,000万円+600万円×3=4,800万円となります。

したがって6,300-4,800=1,500万円 この1,500万円に対し税金がかかってきます。

ではこの1,500万円が生命保険金だった場合はどうなるでしょうか。

相続で生命保険金を受け取った場合、「基礎控除額とは別に」、500万円×法定相続人の数 分の金額を差し引くことができます。

つまり500×3=1,500万円の保険金については非課税になるのです。

先ほどの遺産6,300万円を、現金4,800万円+保険金1,500万円にしておけば、相続税は全くかかりません
そしてもちろんこの生命保険の保険料を支払っている間は生命保険料控除を受けることができます。
「大切な人にお金を残す」なら、まずは保険で節税対策をすることをおすすめします。

節税しながら老後の資金を貯めるのに最適なのは保険

控除が全く認められず、利子所得として問答無用で税金を天引きされてしまう預貯金に対し、お金の入口と出口、ダブルで節税効果のある保険の魅力が分かっていただけたと思います。

そして生命保険料控除は保険料を支払っている限り毎年適用されますから、老後の生活に向けて「地道にコツコツ」準備している人に一番優しい節税方法ということができます。

皆さんも「保険はちょっと難しいから」などと考えず、積極的に節税に活用してみてください。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。