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節税保険の変更と、対策

節税保険の変更と、対策

今、節税保険の話題と聞いてすぐにあの保険のことだと気づく方は 役員保険に詳しい中小企業の経営者や経理担当者の方ではないでしょうか? 今回の記事は2019年の春以降に転機が訪れるであろう法人向け節税保険について まとめてみました。

節税保険の特徴とは?

主に法人が契約する保険の1つの分野になります。

保険といえばケガや病気で入院、手術した際に利用する医療保険。

一家の大黒柱が亡くなった際に残された家族の生活を守る死亡保険などが一般的な保険と呼ばれるものです。

節税保険という正式な言葉は存在しません。

ここで言う節税保険とは法人が契約者として契約することで、結果的にその期の納税額を抑えることができる保険を指します。

節税保険の仕組みとは?

何故保険を契約すると納税額が減るのでしょうか?

納税額はその期の利益に対し課税される税額です

その期の利益とは、その期の収益(売上)から費用(経費)を控除した額のことです。

節税保険とは、契約すると一定のルールで支払った保険料の全額、若しくは半額を経費として計上し利益を抑え結果的に、納税額を抑えることができる保険です。

この種の保険のいいところは、契約より一定年数を経過すると、解約時にそれまで払った保険料の半分以上、条件がいい場合、90%以上戻ってくることもあります。

節税保険の見直し要求される理由とは?

節税という観念の定義となるルールを決めているのは法律です。

その法律が変わればその定義も変わります。

今回この節税保険に対し定義が大きく変わる予定となりました。

節税保険が変わっていくきっかけ

2019年2月13日の新聞各誌に大手生命保険会社が14日より経営者保険(ここまで説明した節税保険の)の販売を一時取りやめることを決定した記事が掲載。

節税保険が変わる背景

国税庁が国内保険会社41社に同保険の課税方法を定めた通達を見直す考えを伝える。

それに対し、大手生命保険各社は直ぐに販売停止の対応
(法人向け商品の売り止め)

国税庁はなぜ節税保険の見直しを伝えた意図

国税庁は解約時に保険料の大部分が戻る前提の商品については金融庁が決めた現行通達上の損金として処理するのではなく資産として計上すべきという考え

節税保険で見直しの対象とは?

保険契約の内容が解約時にそれまでの支払い保険料総額の50%を上回る保険契約が対象となる予定です。

保険種類:

  • 逓増定期保険
  • 長期定期保険
  • 生活障害定期保険
  • がん保険等

(保険会社により保険商品の呼び方は違う場合があります)

節税保険は経費(全額損金)として認められていた理由とは?

支払った保険料は戻ってこないので経費(全額損金)扱と考えられたからです。

現行の通達上、経費として処理できる保険種類は大きな括りで分けると定期保険とよばれるグループに属する保険になります。

その名前の通り定期(一定の期間)の保障をする保険です。

定期の期間が終われば保障もなくなります。

もちろんここまで説明していたような保険料が戻ってくるようなことはありません。

『掛け捨て保険』という考え方

一般的に呼ばれる『掛け捨て保険』がこの定期保険のことです。

この基本観念をベースとして国税庁も法人が定期保険に加入した際の保険料を経費として処理することをこれまで認めていました。

そしてこの考えをベースに外資系保険会社が逓増定期保険を販売開始したのが、今回改正対象となるであろう節税保険の始まりでした。

法人に特化した定期保険(逓増定期保険)

法人向けに特化すること。それは、定期保険の特徴を最大限活かした保険商品でした。

通常の定期保険に逓増という部分を加えたこともその大きな特徴の1つです。

各社名前など細かい点の違いはありますが考え方の基本はすべて同じです。

保険期間が満了すると保障も満期金もなくなる

保険期間の最後まで続けると保障も満期金も無し→掛け捨て→支払う保険料は経費扱い

長期契約を組むと、もらいすぎ保険料が発生する

長期契約を組むことで、もらいすぎ保険料が発生。

契約期間を長く設計すると契約時に保険会社が必要な保険料と保険期間終盤に保険会社が必要な保険料に大きな差が発生する。

支払い保険料は一定なので、保険期間終盤に必要な保険料を保険期間の前半で受け取る設計になる。

→保険期間の途中で解約した場合、保険期間後半に充当されるべき前に先にもらっていた保険料を契約者に戻すということが発生。

保険金額を高くして、もらいすぎ保険料を増やす

さらに保険期間後半の保険金額を高く設計することで保険契約解約時のもらいすぎ保険料額を増やす。

保険期間の開始から一定期間経過すると保障額を最大当初保障額の5倍まで増えていくように設計(逓増保険)。→保険期間前半のもらいすぎ保険料がさらに多くなる
 →保険契約解約時の戻り率の向上。

このようなスキームで各保険会社は保険契約解約時の戻り率を年々増加させた商品を発売し、たくさんの中小企業がこのような生命保険を節税対策の1つとして採用していきました。

そして納税額を抑えることで繰り延べた利益を業績悪化時の利益補填や退職時期の資金として活用しました。

 そして年次をかさねるにつれ当初は外資系保険会社だけの取り扱いが、日本生命などの日本の大手生命保険会社も参入しマーケットが拡大していきました。

大手の参入に伴う節税保険マーケットの拡大に伴い納税資金が、保険会社へシフトするインパクトの大きくなりすぎたことが今回の改正につながった一因であるとも考えられます。

法人における節税保険の今後

結論から述べると、これまでの契約時に費用計上したものが解約時に、ほとんどもどってくるような保険は2019年春以降には無くなる予定です。

もう1つのポイントとして

国税庁からの通達見直しがあったことにより現行の節税保険とよばれる分野は、どのように変わっていくかについてはまだ何も通達自体の内容が正式に、決まっていないため現時点で断定できることはありません。

一方で国税庁は今回『解約返戻金÷支払保険料総額>50%』という部分を問題視しています。このことから解約時に解約返戻金が50%を超える保険商品についての保険料の費用計上はもうできないと考えるのが一般的です。

そしてその費用計上できない改正後の通達が既に契約済の契約まで、遡及し適用されるか、されないのかが大きなポイントとなります。

前例として平成20年にも同様な改正があった際には改正前の契約については、従前通り損金処理か可能でした。

今後について

予定では2019年春頃に改正通達がでると言われています。
解約時に50%を超えるという事を問題視していることが、この節税保険の根幹自体を問題視していると考えていいと思われます。

今後生命保険を活用した利益の繰り延べは大きな転機を迎えます。

保険会社によってはこの法人向けの保険に重点を置き経営している会社もあります。

改正後の通達から判断することしかできませんが、保険会社も存続する為に、改正後の通達に即した新しい形の保険が生まれてくることも十分予想されます。